★STORY★
超満員の球場での日本シリーズ第5戦 。
9回裏、ツーアウト満塁。日報レッズの最後の攻撃。
花形の高塚選手がバッターボックスに立った。わき上がる歓声。
その中によれよれなかっこうの多羅尾伴内もいた。
高塚は見事な逆転ホームランを放ち、ゆうゆうとべースに向かって
走り出した。そのとたん、足もとから崩れるように倒れこんだ。
突然の出来事に、球場全体が異様な雰囲気に包まれた。
検死の結果、アイヌが熊狩りに使う猛毒を使った針による他殺と判明。
一方、一塁側スタンドを写した写真の中で怪しい動向をしていた
大朝新聞のカメラマン川瀬はアパートの自室で同じアイヌの毒針で
殺されていた。高塚殺しのぬれぎぬを着せられた妹のゆう子(竹井み
どり)は伴内に真犯人捜索を依頼する。
その頃、信愛医大理事長木俣(池部良)あてに
「高塚殺したのは俺、次の犠牲防ぎたければ10億円用意しろ」の
脅迫状が届いた。多羅尾に相談をした木俣は理事の望月と秘書の
新村真砂子(夏樹陽子)を伴い、指定のホテルで指定の時間に10億円を
用意して待ち受けていた。
そこへ窓を突きやぶり飛び込んで来たのは狐面の怪人。しかし、
10億円が偽物と知るや怒りの形相で逃走した。
木俣は旧知の暴力団の瀬尾(成田三樹夫)をもボディガードにつけた。
一方、多羅尾は片目の運転手になり、アイドル歌手の穂高ルミ(三崎
奈美)に近づきルミが北海道で高塚選手といっしょに遊んでいたことを
つきとめる。
また、ギターの流しとして、瀬尾興業に乗り込み、真砂子が瀬尾の経営
するクラブのホステスだったことを知る。そして、手品好きのキザな紳
士として真砂子に近づいて北海道に家族がいたことを知る。
満員のコンサート会場で、アン・ルイスの紹介で穂高ルミがイスの形の
ゴンドラにのって現れた。忍び寄る黒い影。狐面の怪人がゴンドラを吊
るロープを切る。ルミの胴体がピアノ線に巻かれ宙に浮く。会場は騒然。
ルミのからだが真っ二つにちぎれて鮮血の血が噴き出した。
再び脅迫状が木俣に届く。「穂高ルミ殺したのは俺。第三の犠牲防ぎた
ければ10億持ってこい。」これを知った伴内は、白バイの警官に扮し、
木俣の長男良教(江木俊雄)を捕らえ、誘拐にみせかけ木俣の口から、
高塚、ルミ、良教の3人のつながりを聞き出した。
3人が去年の夏、北海道で若い男と幼児を車でひき殺したことを知る。
北海道に調査に行った伴内は、真砂子その若い男と幼児の妻であり母で
あったことをつきとめる。その帰途、狐面の男に襲われた伴内は格闘の
末に捕まえると、瀬尾の用心棒であった。
10億円をカバンにつめた木俣たちは出発するが途中、第二の狐面の男
によって強奪される。一方、ゆう子は独自で瀬尾に迫ったが逆に窮地に
陥るが、伴内が扮したせむし男が狐面に変装した瀬尾の用心棒を連れて
現れ、彼に救われる。
その直後、瀬尾とその用心棒は別の狐面の男に惨殺される。
すべての事件を真砂子が仕組み、瀬尾、木俣を操っていた事を知った伴
内は真砂子にこれ以上罪を重ねることがないよう諭すが彼女は拒否する。
真砂子が夜の街角を歩いていると、せむし男の影が・・・。
あわてて車に乗り込むと、その背後に狐面の男。面をとった男の顔を見
て驚く真砂子。
モーテルの一室のベッドに寝かされている真砂子。狐面の男が現れて、
真砂子の肩に狐面の男の斧がくいこんだ。気を失う真砂子。そこへもう
一人の狐面の男が現れて一方を撃ち殺す。仮面の下から現れた顔は、木
俣の部下望月だった。気づいた真砂子は、よろめきながら狐面の男に銃
を撃ったが、逆に狐面の男の手斧が真砂子の額にくいこんだ。
良教と木田(代議士)の娘、礼子との結婚式。ウェディングケーキにナ
イフを入れる新郎新婦。そのケーキの切れ目から真っ赤血が流れ出した。
恐怖にひきつる新郎新婦。噴き出した血で会場は騒然。突如、照明が消
え、真っ暗闇の中で女のか細い呪いの声が広がった。会場は恐怖に包ま
れる。やがて、中二階の片隅に人魂のような2つの灯りが現れた。それ
は気味の悪いせむし男が持つろうそくの灯だった。
怪人はおもむろに顔の変装を少しずつはがしながら云った。
「ある時は・・・片目の運転手、ある時は流しの歌い手、またある時は
、手品好きのキザな紳士、またある時は白バイの警官、そしてまたある
時はせむしの怪人、またある時はしがない探偵、しかてその実体は正義
と真実の使徒、藤村大造だっ!」
藤村大造によって、木俣の悪事はすべて明らかにされた。
なだれこむ警官隊にとらわれた木俣は用を足すことを願い出て、スキを
見てピストル自殺を図る。
事件をすべて解決した藤村大造は、どこへともなく消えて行った。
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